一般社団法人 日本飼料用米振興協会 [j-fra]  ジャフラ

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ご案内

2022年定時社員総会

の開催報告

2022年6月24日(木)13:00〜14:00

実会議とリモート(zoom)のハイブリッドで開催します。

事務局・実会場からZOOMを発信します。理事長・海老澤惠子が定款にのっとり総会議長として運営します。

60分前に、正会員、賛助会員・理事/監事からZOOMに参加が可能です。

機材(PC等)の町政にお使いください。

第T号議案 2021年度活動報告概要(2021年4月1日〜2022年3月31日)

第U号議案 @ 2021年度 事業決算(案)報告審議の件

第U号議案 A 2021年度 特別会計 飼料用米多収日本一表彰事業会計 事業決算(案)報告審議の件

第V号議案 2022年度(令和3年度)活動計画(2022年4月1日〜2023年3月31日)

第W号議案 2022年度 事業計画と予算案(活動計算書案)

第X号議案 新規会員の申請と今後の加入の推進

第Y号議案 2022年 理事欠員の補充について

今回の社員総会では現在の役員(理事・監事)は全員改選となります。昭和産業株式会社 飼料畜産部専任部長

引き続き、第1回理事会を開催します。

2022年度第1回理事会

2022年6月24日(木)14:10〜14:20 にリモート(zoom)で理事会を開催します。

2022〜2024年度の理事の役割分担を決定します。


一般社団法人日本飼料用米振興協会

理事長 海老澤 惠子

本部:東京都中野区弥生町1-17-3

TEL:03-3373-8119

さいたまリモート支局

理事・事務局長 若狹良治

さいたま市南区内谷5-4-14-1006

 副理事長として思うこと




2016年5月24日

 今、農業協同組合がめざすべきこと 第27回JA全国大会の成功をお祈りする 。

 第189回通常国会が終わった。戦後70周年という歴史的な節目にあって、安部首相はこの4月に米国議会で演説し、
 @TPP(環太平洋戦略連携協定)を成し遂げること
 A安保法制を夏までに制定すること を宣誓した。国内で提出されてない法案の成立を約束したのだ。
 このあまりの「暴挙」の陰に隠れてしまって、国民にはわかりづらかったが、安倍首相は自慢のドリルの切っ先をJAグループに定めた。
 こうして農協法が「改正」された。わが国は閣議決定が主導する形で、「平和」とともに「協同」も極端に歪めてしまう道を選択することになった。
 その理由は憶測として様々に頭をよぎるが不明なままだ。
 第27回JA全国大会は、このような歴史的局面にあって開催されることになった。
 この大会が未来への希望と、更なる団結・連帯の確認の場となることを期待したい。

「アーミテージ・ナイ報告書」の不気味
 今国会の安保法制の論戦で、「アーミテージ・ナイ報告書」なるものが注目された。
 この報告書と、安倍政権が数の力で押し通した政策課題の著しい類似性について、生活の党の山本太郎議員が安倍首相に質したのだ。
 アーミテージ氏は米国の元国務副長官、ナイ氏は元国防次官補である。両氏は知日派(ジャパン・ハンドラー)として知られ、報告書は2012年に共同執筆された。
 日本が今後も一流国家であり続けるためにはどうすべきか。
 報告書はこの問いで始まり、米国は強い日本を必要とし、日本が一流でありたいなら米国とともに前進することだと断じる。
 集団的自衛権については、日本がこれを行使しないことは日米同盟の障害だと言い、原発については日本が再稼働しないことは国際原子力開発への妨害だとまで言い切っている。
 当然TPPについては参加表明を急ぐべきことを強調する。
 この報告書には日本に対する数々のこのような提言が記されている。
 そのなかに日本農業についての指摘もある。
 日本の人口は老齢化し、農民の平均年齢は66歳を超えていて、農業貿易政策の調整を延期する余裕がない。
 「もたもたできないぞ」ということであろうか(報告書は岩上安身氏のブログで読める)。 新自由主義的農政の横行と協同の未来
 この報告書が公表されたその年末に安倍政権が発足した。
 以後日本の農政は大きく転換し今日に至る。
  @ コメの生産調整(減反)の廃止、
  A 農地中間管理機構(農地バンク)の創設、
  B 農改革。
 これらが目下の主要な農政課題だろう。
 先日農水省の奥原正明経営局長の講演を拝聴する機会を得た。
 奥原局長は、10年後の日本農業は、「農業の産業としての自立」にあると強調され、そのためにはこれらの農政課題がいかに重要かについて力説された。
 その目的は何か。コメを敵視し家族農業の退場を促す。
 私はこれらに共通する目論見はこれだと勘ぐっている。
 そこに「地方創生」などとても期待できない。
 吉田忠則氏の『コメをやめる勇気』(日本経済新聞出版社)という本を読んだ。
 この本の中心的な主張は、「みんながおなじようにコメをつくれば経営を続けられる時代は、終わった」ということだ。
 「みんな平等」「互助の精神」ではもはやダメだ。「規模」「自立」「経営」だと。
 東京大学の鈴木宣弘教授は、「いま、TPPもなし崩し的に進められ、農業所得のセーフティーネット(岩盤)も崩され、関連組織も解体されつつあり、日本の地域社会や農業に対する『総攻撃』の様相を呈している」と言われている(『「岩盤規制」の大義』/農文協)。
 この状況を反転させなくてはならない。 コメを中心とする農業と地域への支持
 九州大学名誉教授の村田武先生から、近著『日本農業の危機と再生』(かもがわ出版)を贈っていただいた。
 先生はこの困難な情勢にあっても、いや、であるからこそ「焦点は米にある」と断言されている。そして特に「米のゲタ対策」の重要性を強調されている。
 同感である。「米のゲタ対策」については先生のご著書にゆずり、ここでは飼料用米について触れたい。
 飼料用米は、主食用米の消費量が減り続けるなかで、これからの稲作を展望するうえで不可欠な取り組みだ。食料自給、耕畜連携等々、これがもたらすメリットは多い。
 しかし飼料用米は補助金を必要とする。これが最大のアキレス腱だ。そのため農家はこの助成制度が「猫の目農政」にならないかと不安視している。
 吉田忠則氏は先の本で、「収入のほとんどを補助金でうめる飼料米助成は、財政の壁にぶちあたり、いずれ見直しをせまられる」。
 「補助金の使い方の妥当性を疑わざるをえない」と断じている。この制度の足元はかく危い。とすればこれを「法制化」できないか。飼料用米がここまで拡大してきた要因に生協(消費者)の貢献がある。消費者を含めた支持の声を集めて法制化が実現できれば、元気も出て来よう。 地球を壊す「今だけ、金だけ、自分だけ」
 「アーミテージ・ナイ報告書」は、米戦略国際問題研究所(CSIS)が発表したものだ。
 このCSISは米国でTPP推進の重要な役割を果たしているらしい。
 日本では安倍首相の知恵袋たる規制改革会議が、このCSISの意向を受けるような形で今回の農協法「改正」を進めた。
 大妻女子大学の田代洋一教授が、本紙9月10日(2269)号で、農協改革における在日米国商工会議所(ACCJ)の対日要求(JAバンクの他金融機関とのイコール・フッティングやJA共済を巡る問題等)について触れておられるが、ACCJもCSISも新自由主義的な視点から日本を物色している。
 今回の農協法「改正」の議論では、世界中の協同組合が結集するICA(国際協同組合同盟)で決定された、協同組合の価値や原則が足蹴にされてしまった(ここで協同組合基本法制定の重要性が想起される)。
 そんななか先の本紙の同じ号で、今尾和実氏による協同組合の保障事業たる共済と、一般の保険事業との違いに関する連載が始まった。  これも協同組合にとって実に重要な論点である。しかし新自由主義者の方々には、これまた馬の耳に念仏だろう。理論武装が必要だ。
  「資本主義の終焉」や「成長メカニズムの崩壊」のような議論があるなかで(例えば水野和夫氏)、さらに成長を欲すれば、これまであったルールをご都合主義的に変更し、他者のものを横取りするような経済活動が正当化される。
 「今だけ、金だけ、自分だけ」(鈴木教授)を行動規範とする一部の人たちが、社会を主導し富を集積させる。無理を道理と言いくるめた無茶苦茶がまかり通る。
  よりよい社会に向かって  泣き言はやめよう。  協同組合は「社会の自己防衛」「社会の良心」たることを使命とし、「協同」によって「よりよい社会を築く」ことを課題とする。
 このことをしっかりと覚悟したい。
 評論家の内橋克人氏が「FEC自給圏」を提唱されている。
 食料とエネルギーと福祉・たすけあいの自給圏づくり。
 これこそ協同組合の課題であろう。
 JAグループのみなさんは、これまで総合農協として地域のライフラインを築いてこられた。その実績に重ねてこの課題をより積極的に位置づけられまいか。
 JAグループこそ、協同組合横断的にこの課題を推進する牽引役にふさわしい。
 2015年に終了する「ミレニアム開発目標」に続き、世界の心ある人びとは、いま「持続可能な開発目標」への挑戦を始めている。
 このままでは新自由主義によって地球は壊わされてしまう。
 こういう状況にあってこれは重要な挑戦だ。日本の協同組合陣営も、この挑戦の環に参画すべきである。


加藤好一(かとうこういち)
生活クラブ生協連合会 代表理事会長
一般社団法人 日本飼料用米振興協会 副理事長

この文書は、第27回JA全国大会に際し、 「農業協同組合新聞」第27回JA全国大会特集号 に寄稿したものである。