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事務局長の独り言 日本で初めての電気(EV)霊柩車(透明ガラス張り)を送り出した経験談

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年月が経つと、情報も狂ってくるのかな?


白い車体を濃紺に塗装し、後部の窓ガラスもスモークでも目隠しでもない透明なガラスである。
棺をお花で飾って、お見送りの方々から見守られる葬列が目に浮かびます。
英国エリザベス女王が自ら設計された自分の霊柩車は、同じ様に透明のガラス張りでした。
この透明ガラスを提案されたのは、神奈川県三浦市の葬儀会社「藤葬祭」の藤社長の先見性にビックリです。



思い出しましたEV霊柩車の話(26年ほど昔話)

 コープかながわ、しずおかなど全国の有志生協で設立したコープ電動車両開発株式会社(コープEV:生協の共同購入などの配送トラックの低公害化を目指した)で、第三次試作車まで電動トラックを開発、トータル6台を生協で使用した。

 そんな時代に、7つの自治体(7都県市:東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市)と相模原市が共同購入したのが、トヨタタウンエースバンEV。

 それを購入した神奈川県環境部が1年でもてあまし、当時、コープEVも電気トラックからLPGトラックに転換を進めていた頃、トヨタの神奈川県のディーラー担当から愚痴を聞いた。
 「神奈川トヨタが困っている。神奈川県に納入したタウンエースEVが、3年契約なのに1年でキャンセルされてしまった。」とのこと。

 そこで低公害車フェアで知り合った神奈川県三浦市の藤葬祭さんと相談したところ、「白いタウンエースを濃紺にカラー塗装。窓は敢えて中が見えるようにお花で飾る」と言う。
 その時、霊柩車と言うとお宮型が真っ先に頭に浮かび、窓は当然にも中が見えないものと考えていた私は、目を白黒させた。
 実際に使用する藤さんの提案なのでその方向で話を進めることにした。

 今年(2022年)、英国のエリザベス二世女王がお亡くなりになったが、その際の棺の輸送に使用した霊柩車のデザインはシンプルで、棺が見えるように窓がガラス張りであった。
 なんでも、女王が自ら提案したデザインだという。
 それからすると、1996年にこのようなシンプルな窓から棺が見えるスタイルのデザインを提言した藤さんの「先見の明」に改めて敬意を表します。

 早速、その時点で所有者であったカローラ神奈川の了解を得て、トヨタ自動車本体の了解を得ることにした。
 早速、改造許可の了解を得るのにトヨタ(愛知県豊田市)に出張した。
 トヨタの電気自動車開発担当(主査)と話し合った。
 本人としては予想もしなかった提案に「いじめないで下さい」と言う。
 「いじめてなんていないよ、まじめな相談です。」と言って、説明してオーケーをもらった。

 横浜市のトヨタテクノに霊柩車の改造してもらった。

 早速、ニュースリリース(1996年6月11日)を作成して、霞が関の環境庁の中庭でお披露目を行った。

 その後、お葬儀で使用され、葬家のお孫さんが「お家のおじいちゃん、電気自動車であの世に行った」と言ったとの話を聞いた。
 しばらくして、写真週刊誌「フォーカス」にカラーで大きく掲載されたが、「コープEV・若狭・トヨタ」の話は全く書かれなかった。
 世の中、そんなものだろう。

 日産リーフEV霊柩車のニュースに「日本初の」と書いてあるので、そんなことを思い出した。

 コープEVで働いていた組合員さんから「若狭さんは早すぎた」と言われたが、これもそんなものだろう。

 コープEVのその話の5年ほど前、日本生協連指導部職域生協担当の頃、食堂研究会や葬祭事業研究会を作って職域生協の発展方向などを勉強したが、そういった取り組みの一つの発展形と私は考えていた。

 また、職域生協担当を4年ほど務め、日本生協連中央地連事務局次長・組織課長となった際に、環境問題に触れ、今後の自分の方向を環境対策と定め、話のあったコープかながわ、コープしずおかの呼びかけで有志生協で創立されたコープ電動車両開発株式会社を所管しているコープかながわ(本部:新横浜)に移籍した。

 しかし、当時の能力では、モーター、コントローラー、蓄電池のレベルは低く、現在のような優秀なモーター、先進的な電子部品、高性能蓄電池が無く、鉛電池や500個あまりのトランジスターコントローラー、モーターはGEの工業用モーターしかなく、それもアメリカのソレック社というベンチャー企業に組み立ててもらった。
 正直、移籍後、3日でガックリし、3週間で諦めて、3ヶ月でやるしかないと覚悟を固めた。
 移籍じゃなく、出向の方が良いとのアドバイスも頂いていたが、自分で退路は断った。

 3年後に、今後の会社のあり方論議を進め、「電動車両開発=EV」を「低公害車開発=EcoV=EV」と社名を変え、目標を生協で共同購入事業で使用する配送トラック(2トンクラス)の現実的な低公害車として、トヨタ自動車と共同開発したのがLPガストラック(1.5トン積載車)である。
 そんな時期に、トヨタ自動車の特販部を窓口として付き合い、コープEVのある神奈川県を担当しているトヨタの販売促進担当と話し合う機会が多くなった。
 そんな中でのトヨタの担当者の愚痴を何とかしないと行動を起こした結果である。


 今日の電気自動車の発展方向を見ると隔世の感を強くする。

 同時に、私たちが目指した電気トラックは、現在も生産はされ、販売もされているが、正直乗用車と異なり、運んで幾らの世界のトラックでは、環境問題だけでは実現は難しい。

 経済問題を克服して、様々な意味で成果が得られるのは最低でも30年は必要と思う。
 しかし、その30年も目の前である。
 それでもまだまだ道半ばの感を禁じ得ない。

 最後は、私に愚痴だが、そもそも、生協が自力(補助金なしで)で電気自動車を作ろうとした話自体、現在の生協でそんな無茶をするような先進性(?=無茶)を果して、今の生協は持っているのだろうか?

 言うと嫌われるんだろうなと思いつつ・・・・つい書いちゃいました。

m(_ _)m▼σ(^_^;)?▼▼▼σ(^_^;)?

2019年9月16日に書いたものを2022年12月4日にrewrite

EV霊柩車 日本初、世界初 1996年6月11日 プレスリリースPDF


◆ 電気自動車(EV)の霊柩車。特徴と導入のメリット。
1 音が静かである。
2 排出ガスの臭いや刺激性のガスが出ない。
−地方によって、霊柩車の後を歩くことがあり、排ガスを吸わないで歩ける。
3 夜間の出動はしない。夜間はじっくり充電できる。
4 どんな時でも、80、100km/hなどの高速走行はしない。
5 使用時の計画が事前にわかり、電気自動車の走行性能に合わせた利用が可能。
6 業界では車両の管理上、丁寧に扱い、車両寿命の長いため、電気自動車の耐久性と持続性を実証的に検証できる。
7 霊枢車は、少量の改造車で、もともとコストが高く、現状での電気自動車のコストを、他の利用よりも吸収し易い。(今回の霊柩車は音型ではなく、洋型です。)
8 現在、官公庁で使用されている電気自動車(トヨタ・タウンエース)の有効活用が考えられる。(資源の有効活用)
◆ 開発経過
1992年 藤喜代司(藤尾 代表)『92年低公害車フェアー(環境庁等主催)』(代々木公園)に参加し、電気自動車に初めて触れる。
コープ電動車両開発戟iコープ低公害車開発鰍フ前身)の電気トラックを見て、霊枢車への応用のヒントを得る。
1995年 コープ低公害車開発鰍ニ相談し、いすゞ自動車叶X沢工場で電気トラックを見学し、霊柩車への応用を検討したが、デザイン上の困難があり、断念。
1995年 コープ低公害車開発撃フ案内でトヨタタウンエースEVを試乗。可能性について夢が広がる。
1996年 コープ低公害車開発鰍フコーディネートによりトヨタ自動車鰍フ協力が得られ、車両の確保と改造が実現。

所有者(購入者)_共同企害者
第1号車 有限会社 蔵屋(代表取錆役 鳶 喜代司)
神奈川県三浦市三崎1−2−23   TEL O468(81)2301 FAX O468(82)6267
◆ 使用エリア
第1号車 当面、神奈川県三浦市周辺。
地域住民、生協(コープかながわをはじめ、利用者への提供)なども。
発表者
コーディネーター(推進者)・開発企画
コープ低公害車開発株式会社(本社:横浜市港北区新横浜2−5−11)
取締役・統括マネジャー 若狭良治   TEL O45(472)7913  FAX O45 く472)7924
共同企画・開発
トヨタ自動車株式会社 特販・特装車両部(部長 沢崎忠昭)
担当課長 金子 撤          T E L O52(952)3624  FAX O52(952)4967
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構造変更者
トヨタテクノクラフト株式会社(横浜工場:横浜市港北区師岡町800)
担当係長 菱田太郎            T E L O45(540)2111  FA X O45(540)2112
販売者
トヨタカローラ神奈川株式会社 特販営業所く横浜市保土ヶ谷区狩場町65)
所長 宮村八郎              TEL O45(715)8910  FA X O45(715)8803

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導入者のコメント
新しい時代を幕開けを!!
1996年6月11日


有限会社 藤  屋


代表取締役 藤 喜代司


子供の頃、仲間と遊んでいて、自動車の後を追いかけ、排気ガスの匂いを喚いでいい香りだと思ったものです。
しかし、やがて悪臭に変わり、気分が悪くなってきました。
まだまだ、自動車が少なく、珍しい時代でした。
大人になって、家集を継ぎ、霊枢車の運転をしたり・お見送りをしているうちに、排気ガスが鼻につくのに気がつきました。
それ以来すごく気になるようになりました。
ある所では、霊枢車に棺をお乗せしたあと、100メートル位の距離をみんなで霊柩車の後を歩いて、皆さんが乗る車の駐車場まで行くことがあります。このような時は大変です。
私も歩いたことが何度もありますが、相当離れていても、排ガスが気になり・ついて歩くことが苦痛でした。排ガスの出るパイプの真後は歩きたくないものです。
全体から見れば、走行することが少ない霊枢車でさえ、このように排ガスが気になるのです。
これが何千万台となると、その被害は大変なものであることは間違いないでしょう。
私が電気自動車(EV)に強い興味をもったのは、協会(全霊協:全国霊枢自動車協会)から『92年度 低公害車フェアー(東京・代々木公園)』の資料が送られてきて・見学にいったのがそもそものきっかけでした。その時、電気スクーターに乗せていただきました。そのスムーズで・音もない乗り心地というのがはじめての感想でした。
それから何とかなりそうだと思ったり・やっぱり無理だと思ったり・様々なことがありました。
今回、コープ低公害車開発鰍ヘトヨタ自動車梶i本社特販・特装車両部、カローラ神奈川梶Aトヨタテクノクラフト梶jのご支援を得て、夢がかなえられ・大変嬉しく思います。

事はこれからだと思います。実用化というか、生活に溶け込んでいくまでにはまだまだ多くの困難を抱えていると思います。
私たちの業界にも、一台でも多く普及し、ユーザーの立場から環境への取組みが強化されるよう、呼かけていきたいと思います。
クリーンなハーモニーを奏でていきたいと思っていますが、これを機会に、ユーザーの希望がどのように出てくるのか、教育と文化と、マスコミが、どう日本人を完成させてきたのか、等々も少し図れるのか、など少し意地の悪いことも考えながら頑張っていきたいと思います。

いろんなことが頭をよぎります。
いずれにいたしましても、新しい幕を開けようではありませんか!!

今回、環境庁・大気保全局自動車環境第一課・運輸省陸運局の皆様にご指導とお力添えをいただき感謝申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。

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コーディネーター・企画開発者のコメント
ユーザーの立場からの電気自動車の可能性の追究
使うメリットとコストは普及のための重要な要件
1996年6月11日


コープ低公害車開発株式会社


取締役・統括マネジャー 若狭良治


今、世の中では、インターネットやマルチメディアといったことが大流行です。
また、環境ということも、−いろんなことを語る場合のキーワードになっておりますが、実際の活用の場面になりますと、評価様々、現実は巌しいという事になります。
私どもが、生協の共同購入事業で使用している小型トラック(現状では、ディーゼルエンジン車が多数を占めている)の低音化を目指して、電気トラックの開発を目指しました。
性能面では・現在の技術力でもなんとか実用化の目処は立ちました。
もちろん、品質面では現在の内燃エンジン車に比べてまだまだ研究途上であることも現実です。
しかし、問題はそんなことよりも、導入コストと運用コストの両面で、全く実用化の目処が立たないのです。

私どもは、次の策として、LPG(液化石油ガス)を燃料とする小型トラックの低公害性に注目し、トヨタ自動車梶A三菱自動車工業梶Aマツダ鰍ニ共同でLPG小型トラックを開発し普及を進めています。
しかし、ここでも問題になるのは、導入と運用コスト・LPGスタンドのインフラ整備の問題です。
私どもは、LPGトラックの低公害性や経済コスト・実際に使う現場における作業環境の改善などといった目の前の問題を一つ一つ克服しながら進めております。
そのような活動によって・現在2年間の積み上げで530台を超えた導入が実現しています。

さて、電気自動車もその乗り心地の良さや横出ガスを出さないというわかりやすい低公害性のためにその普及を望む声が大きくなっています。しかし、そのコストの高さや性能面での限界などから、実際に使って欲しい場面での使用ではなく、「導入のための導入」、「性能に合わせた使用」という逆転した状態になっています。

私どもは、利用したい場所での利用を前面に掲げて、排出ガスが一番問題になっているトラックへの利用という立場で進めてきましたが・その意味では断念せざるを得ない状況だと判断しました。
一方、本格的な高齢化社会の訪れを前にして、生活全般への生協の役割が求められており・生協でも葬祭事業への参加く神奈川県生協連・コープかながわなどによるコープ葬祭鰍ネど全国的に取り組みが拡大してきている)をしてきています。
そのようなことを含めて、検討を加えてきた結果・霊柩車への応用が浮上しました。
また、藤屋さん(代表取締役・藤喜代司、霊枢車事業者)からの相談があったことをきっかけに具体的な検討を加えてきました。
種々の検討を経て、この間・小型電気トラックの研究開発を進めてきた実績とLPGトラックの研究開発・普及という両面からトヨタ自動車鰍フ特販・特装車両部と第3開発センター(EV)の理解と協力を得ることができ、EV霊枢車の実現ができたものです。
藤さんがコメントしていますように、実際の現場での導入に対する要望が強く有り、コスト側面で展望が見えてくると民間の独力での導入が促進されていくものと考えております。
率直にいいまして、最初に「電気自動車の導入普及」ありきではなく、「この場面・この場所で利用したいという具体的な要=利用メリット」があって、その次に「性能・コストでの見通しができる」ことが普及促進の原動力となると考えます。「補助金にのみ頼った導入普及策」は、所詮は「金の切れ目は縁の切れ目」になるのではないかと思います。

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(参考資料)コープ低公害車開発株式会社の活動
(1)電気自動車の研究開発
生協で使用している共同購入車両の「黒煙」や「窒素酸化物くNOx)」等を排出しない電気トラックを開発しようとコープかながわく本部:横浜市)が呼びかけて有志生協で90年7月にコープ電動車両開発株式会社を設立した。現在22生協が株主生協となり、総計38生協が開発に参加している。
いすゞ自動車株式会社と共同で、第1次試作車(91.1)、第2次試作車(92・5)、第3次試作車(93・10)を完成した。

* 93年3月に第2次試作車の実用走行車を東都生協・ジョイコープ(東京都)に納車した。
* 94年3月に第3次試作車の実用走行車をコープとうきょう(東京都)に納車した。

このようにユーザーの立場で研究・実験を行ってきたことで、性能面(走行距離・積載重量・実用走行性能)では業務を遂行することが可能だが、導入と運用には、現状の車と比べてコストが高く、大幅に導入普及することが困難なことがわかった。
しかし、NOxをはじめとする大気汚染が改善の兆しを見せないことから、より低公害な車の開発と普及が急務となっていた。
現在、コストが優先するトラックの分野では、電気トラックの導入の目処が立たないため、電気トラックの開発は、コープ低公害車開発鰍ニしては中止状態になっている。

(2)NOx対応で第1段階は、直噴式ディーゼルを副宝式ディーゼルへ切り替え
全国で1万数千台走っている共同購入車両をすべて電気自動車にしていくまでにはかなりの年数を要することから、開発に参加してきた生協で、「ディーゼルトラックを直噴式を副室式に切り替えること」や「配達コースの見直しによる効率改善」等による排出ガスの低減化に取り組んできた。
しかし、黒煙や発癌性があるといわれているSPM(浮遊粒子状物質)を根絶できないし、NOxも充分こ減らしたと言えない状態であった。

(3)絵合的な判断で、くLPGトラック)の導入普及をはかる
開発参加している生協の実務担当者による『生協EV・低公害車検討実務担当者会議』を92年7月に第1回を開催し、現在までに16回を数えた。
そこで当面のNOxなどの排出ガスに対する「効果的な具体的策」を検討を進めてきた。
その結果・当面の対応策として、LPGトラックの検討を始め、メーカー(トヨタ自動車と具体的に進んだ。それ以外のメーカーとも接触を行なった。しかし・他メーカーはその時点では同意を得られなかった)と交渉し、93年11月にモニター車の完成をみた。
その後、モニター車を全国30カ所以上で説明会と実証テストを行なった。
その結果を踏まえて・94年6月から生産を開始し、94年7月4日にえひめ生協に第1号車が導入され・その後順次導入が進み、96年5月で530台が生協に納車された。

その普及の経過で三菱自動車工業梶Eマツ卵撃ェ共同開発に参加し、96年より供給を開始している。

最近のニュースから◆◆◆◆◆◆◆

脱ガソリン車は葬儀業界にも影響?
霊柩車もEV化!
日本初「リーフ霊柩車」なぜ導入したのか

2020.12.20 加藤久美子

https://kuruma-news.jp/

連日のように「脱ガソリン車」の報道が流れていますが、人生最後の祭典となる葬儀においてもその傾向が現われているといいます。従来の霊柩車は、アメリカ製のリンカーンやトヨタ「クラウン」などが主流でしたが、2020年には日産の電気自動車「リーフ」をベースとしたEV化された霊柩車が登場しました。なぜ、電気霊柩車を導入したのでしょうか。

霊柩車にEVを導入した理由は?
 脱ガソリン車の動きが国内外で広がりを見せるなか、日本政府は2030年代半ばまでに「純ガソリン車」の新車販売を禁止する考えを示しました。
 
 そうした昨今の状況からか、亡くなられた人を斎場から火葬場に運ぶ霊柩車の世界にも、ついにEVが登場したといいます。

日本初!? 霊柩車にEVを導入? 日産「リーフ」ベースの全長6m超えモデル

 日産「リーフ」をベースとした日本初の電気霊柩車を導入したのは、株式会社日本セレモニー(本社:山口県下関市)という会社です。同社は東北と西日本合計で212箇所の斎場「典礼会館」を展開しています。

 2019年12月末に納車されたという日本初の電気霊柩車は、まず何よりも白を基調としたボディカラーが印象的です。

 環境に配慮したクリーンなイメージのスタイルは、おごそかな雰囲気も感じられます。

 ボディサイズは全長6480mm×全幅1790mm×全高1530mm、ホイールベース4700mm。ホイールベースだけで普通車1台分の長さがあることに驚きます。

 ベースとなるリーフのボディサイズは、全長4480mm×全幅1790mm×全高1560mm、ホイールベース2700mmなので、ホイールベースを2m延長した分がそのまま全長に反映されています。

 なお、車両総重量は標準リーフが約1.7tから1.9tのところ、霊柩車リーフは約2.3tとかなり重くなっています。

 ちなみに、同社で使用しているリンカーン「タウンカー」をベースにした霊柩車のサイズは、全長6980mm×全幅1990mm×全高1550mm、ホイールベース4450mm。全長と全幅に大きな違いがあり、リーフ霊柩車は日本の道路事情にもマッチしたサイズになっています。

 導入されて約11か月経過した現在の走行距離は8142km。走行するルートは決まっており、1か月に40回から50回、斎場と火葬場の往復だけで使用されているそうです。